弟子の林さんも、当工房に弟子入りしてから半年(正確には7ヶ月)が経ちました。この半年での彼女の向上ぶりは私の方が驚くくらいです。言われたことをきちんと行うのは当然として、私の言ったことを先回りして理解しようとする姿勢が素晴らしいです。
部分的ではありますが、かなり高度で重要な仕事も任せるようになりました。もちろん、先はまだまだなのですが、毎日成長していく様は私が隣で見ていて気持ちが良いくらいです。
弟子期間の当初の課題は、「高精度な、良い(美しい)道具」を作ることです。良い道具あっての、その結果(作業のでき)なのです。技術の上達はこの考え方につきます。
弓の購入を検討しにいらしたお客様に説明しているその言葉を、隣で林さんも聞いているはずなのですが、「良い道具が、自然と教えてくれる」というのは嘘ではありません。これは演奏者にも、職人の弟子にも全く同じように当てはまることなのです。
「職人にとって一番重要なのは?」と、よく問われることがありますが、その答えは「基本(基礎)」です。そしてその基本(基礎)の本質は「良い(高精度で美しい)道具」と言ってもよいのです。良い道具無しの「職人教育」はナンセンスだとさえも言えます。