最近、ブログに「弓の在庫特別セール」と書いたこともあってか、試奏しにいらっしゃる方がいつもより多いです。ありがとうございます。
今回に限りませんが、弓の購入を検討している方で、弓を試奏しにいらっしゃる方のほぼ全ては、「弓を探しに」来ます。まあ、当たり前と言えば当たり前の行動でしょう。
ところが、工房にいらしたお客様に対して、私は、「まずは、だまされたと思って、私の話しを聞いてください」と言います。こう言うと、ほとんどのお客様は怪訝な表情を見せるのです。とくに自分の演奏技術に自信のある方、または自分には楽器や弓を見る目があると思っている方ほどそうなのです。
私自身も、その「最初」の、いかにも私に対して不信感(または自分の考えを否定された拒絶感)をもっている方と話を進めることが一番辛い瞬間です。
ところが、話を進めていくと、お客様の表情はがらりと変わっていきます。なぜならば、論理的な説明には、必ずそれにともなった「実際の音の変化」が伴うからです。最初は怪訝な表情だったお客様も、最後の方には自分自身の方から、私が論理的に説明した事とを積極的に追求し出すのです。「弓の性能とは何か?」が実際に見えてくるのです。そして演奏の表現力は、がらりと変わります。「殻を破る」というのは、こういうことを言うのだと思います。
そして私が一番嬉しいのは、もちろん最終的に弓を購入して下さることもありますが、表情ががらりと変わって、「なるほど!そういうことだったのか」というような、生き生き表情に変わって下さることなのです。さらに私の言うことに対する信頼感も増していますので、私がちょっと説明した内容に関しても、食いついてきて、さらに実践します。
話が長くなりましたが、弓の試奏時に一番大切なことは、(ご自分の考えはあるでしょうが、それは一旦しまっておいて)、「まずは、だまされたと思って、話を聞いてみてください」という事です。
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