私ドイツから帰国して直ぐくらいの話です。このお客様がまだ大学生オケ(私のかなり後の後輩にあたります)在籍時だったと思うのですが、私のお勧めの弓を購入してくださったのです。

 今思えば安い価格帯の弓ですが、自分で言うのも何ですが、なかなか良い性能の弓でしたので、これまで私も「もっと良い弓はあるけれど、これで良いんじゃない?」みたいな感じでした。

 しかし最近、年々弓の性能に対する価格がかなり高くなっていて、私も「良い弓を多少無理をしてでも」という考えに変わってきたのです。そこで、彼女にもここ数年、「グレードアップしたら?」という話をしていたのです。

 私自身も、自分で売った弓を、例え安い価格帯のものであったとしても、あまり否定はしたくないし、またそのお客様も、新たに購入する弓の価格帯の高さに、少々尻込みする感じで数年が過ぎていたのです。

 先日、とうとう、とても良い弓(値段も高いです)を購入してくださりました。そこで、ご自分の楽器を弾いたら、楽器から出る今までと違った音に驚かれていました。私も、少々強引にでも勧めて良かったと思っています。

 その後、家でもっと弾いてみて、さらなる発見が沢山有ったと思います。

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