時々、「他人に楽器を貸したら、返却後に楽器の鳴りが悪くなってしまったけれど、変な弾き方をされたのではないか?」という、相談とか再調整の依頼があります。

 もちろん、長期間貸すのと、一度だけ貸すのととでは話が全く変わってきます。上の質問の人は、ある「一演奏」だけでの話でした。

 他人が自分の楽器を少し(一時間くらい?)弾いただけで、楽器が鳴らなくなることがあるのか? 私の答えとしては・・、

・鳴らなくなったと感じる一番大きな要因は、やはり気分的な問題と思います。自分の楽器を他人が雑に弾いているように感じたときなどは、必ずマイナスイメージが付加されるのです。
 逆の事も言えて、例えば有名な演奏家とかが自分の楽器で素敵な演奏をした場合など、ほぼ100%プラスイメージが付加されて、「鳴るようになった」と感じるはずです。
 時々、「楽器を正しい音で鳴らす(振動させる)ことで、楽器は良く鳴るようになる」という人がいますが、これは理的にナンセンスです。

・楽器を貸した人の松脂の種類とかが違うと、楽器返却後に大きな違和感を感じる事もあるはずです。これがマイナスイメージを増幅させます。

・他人に楽器を貸すと、どうしても他人が楽器の調弦をします。そうすると、糸巻の状態(固さとか)が、微妙に自分の癖と異なってしまっているのです。そうすると、違和感を感じて、マイナスイメージを増幅させてしまいます。

 このように、他人が弾いたことで、微妙な変化もあることは事実なのですが、基本的には「気分的なも」のがほとんどだと思います。他人の弾き方で、楽器の構造が変化してしまう事はありません(他人が楽器をいじってしまったら話は別です)。あまり神経質になる必要は無いと思います。

 しかし、「気分的なもの」も含めて、他人に楽器を貸すと楽器に違和感を感じるようになることは確かです。楽器を気軽に他人に貸すことは、できるだけ控えるべきと思います。もちろん、「ちょっと弾かせて」と言って、”自分の目の前で”1~2分間だけ音を出すとか、そういうのは、全く悪影響はありません。

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