本日、エンドピンストッパー板を注文されていた方が、製品を取りにいらして、「エンドピンストッパー板」に関して色々な話をしました。

 そこで、その方が「今はこんなのを使っています」と言って、ある製品を見せてくださりました。先日のチェリストが所有していたストッパー板(板と言うよりは箱タイプ)も、今回の方が所有しているストッパー板(板と言うよりは、ドームタイプ)も、両方ともストッパー本体が共鳴(振動?)するような仕組みになっているのです。

 もちろん、その製品を使おうと、楽器が壊れるわけでもなく、また雑音が出るわけでもないので、個人の好みの範疇なのですが、私の音響理論では、ストッパー本体が共鳴しては音が悪くなるのです。しかしそのような見た目重視(素人にはそれが受けるのです)の製品ってとても多いのです。

音響原理的には、大まかに述べるならば、次の二要素が大切です。

・エンドピンストッパー板を、床といかいに一体化させるか(共鳴はもってのほかです)がポイントです。なぜならば、共鳴すると、エンドピンの、すなわち楽器の終端抵抗に変化が起きてしまって、楽器の音質が変わってしまうからです。

・もう一つは、ゴムのようにエネルギーを”熱に変換してしまわないように”する仕組みです(非ダンピング性能)。

 本日、私のエンドピンストッパー板を購入された、第一号のチェリストの方から年賀状を頂き、そこに感想が書かれていました。「ピチカートの音が違う」というような感想でした。なるほど、私もそう言われるまで気がついていませんでしたが、ピチカートこそが音響原理的にも一番性能差が出るかもしれません。

 蛇足になりますが、私の言う「良い音」とは、チェロのエンドピンを直接床に刺した状態の、チェロの素の音の事です。決して、元のチェロの音を、より良くすると言っているのではありません。逆の事も言えて、エンドピンを直接床に刺した状態で最高の音になるように調整するのが、技術者としての腕の見せ所でもあるのです。

 エンドピンストッパー板の音響性能とは、「いかに音質劣化を少なくするか」という問題なのです。

 

関連記事: