こんな事を言ったら、この業界に喧嘩を売っているように誤解されてしまうかもしれませんが、それでもあえて警告したいと思います。
それはプロの演奏者ほど、楽器の事が判っていないと感じるからです。もちろん、人それぞれで様々なので、あくまでも平均的な話しではあります。
例えば、テレビ番組中で演奏者が自分の楽器の値段を、「マンションが買えるくらい」とか、「都内に一戸建てが買えるくらい」とか説明するシーンは”お約束”くらいによく見かけます。皆さんも、当たり前のように見ている光景だと思います。マスコミも表現能力の低い人ばかりなので(勉強しないから)、楽器の性能を説明するのにワンパターンの「価格」でしか表現できないのも一因です。
これは一体何を指しているのか?
それは、「楽器とは、高ければ高いほど良い物であり、高い楽器を持っている演奏者ほど、より上手な演奏者である」という価値観なのです。
もっと下品な言い方をするのなら、高い楽器を所有しているという事は、「自慢」なのです。
本来は、良い性能の楽器を手に入れる事が目的のはずなのに、それが「価格」になってしまっているのです。すなわち「高い価格の楽器の購入競争」になってしまっているのです。
なぜこのようなおかしな風潮になってしまっているのかというと、それが演奏者が子どもの時から、常に高い楽器に買い替えることが正当な行為であるという世界で育ってしまっているからなのです。
そこには技術的な根拠や、まして科学的な根拠は全く存在していないのです。そこれどころか一番基本となるべき、一般社会的な常識さえも希薄と感じます。なぜならば、そのような教育を受けることもしていない(そのような教育自体が存在しない)からです。アマチュア演奏者はそれぞれの専門分野とか社会観念を否応なく身に付けています。しかし、プロの演奏者は子どもの頃から専門的に「演奏」の勉強しかしていないことが多いのです。だからこそ、危険性をはらんでいるのです。
全ては、「教育」の話しになります。
補足になりますが、演奏技術とか、才能の話ではありません。何も、演奏者の事をバカにはしていませんので、その点だけは誤解の無いようお願いいたします。バカにしていたら、もっと口先でおだてて「お客様」にしていますから。
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