私が「弦楽器製作工程ビデオディスク」で観て、そして感じて欲しいものは、「地道でどこまでもひたすら続くような作業」です。

「今の作業光景の次のシーンは……前とほとんど変わらない作業のシーン」

 これこそが本質なのです。このビデオディスクを観ながら、退屈に感じてしまったら、私は本望です。

 現代人は、直ぐに次の結果を求めてしまいがちです。しかし、そんな安直なものに、本物はないのです。これは何も私の楽器だけの話ではありません。あなたの楽器でも同じであり、そして調整技術でも同じです。演奏の技術でも同じなのです。

 特効薬や魔法の技術、魔法の製品なんて存在しないのです。そこを勘違いしてしまうと、全て間違った方向へと進んでしまいます。

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