これまでに何度も書いたことがありますが、私はこの弦楽器の仕事に関連し始めて直ぐに、さまざまな非科学的な内容、オカルト的な非合理性、矛盾、自己陶酔性、芸術という言葉の濫用、等々を感じてきました。

「ちょっとやばい世界(業界)だ」とも、感じました。これはお客(演奏者)側も含めての事です。

 なぜこんな事になってしまっているのかというと、単純です。知らないからです。
 式を知らないから、答えがでないのです。または、式の解法を知らないから、答えを間違えるのです。脚注

 だから私は、まずは判りやすいところから始めようという目標を立てました。それは「用語辞書」を作る事でした。未知の人種の文化を知りたければ、まずは言葉の辞書を作り始めるはずです。それと同じです。

 例えば「箱鳴り」とか「遠くまで届く」とか、「飴色の」とか「裏板を鳴らして」とか、「柔らかな」、「明るい音」、「脱力」とか、様々な表現が存在します。しかし、それに関して正確な分析をしている人は、私の知る限りいません。皆、それぞれで、あやふやな感じで、しかし自信を持って堂々と使っています。

 良い意味で言えば、「感覚的」、「芸術的」。悪く(厳しく)言えば、「非科学的」、「適当」、「都合のいい表現」です。

 だから私は、それら一般的に用いられている用語と、その科学的的根拠、そして各用語の類似を一覧表(辞書)みたいな物にして、この世界(業界)を客観的に、俯瞰から眺めようとしたのです。

 そのためには、まず各用語の本質を知る必要があります。だから色々、多方面を調べているのです。

 そうしたら、こんなに時間が経ってしまいました。実は「マイスターのQ&A」はこの辞書を作る上でのノート(ラフスケッチ)的なものだったのです。

 

注:最近判ってきたのは、多くの方が求めているのは、真理とか仕組みではなく、「自分の考えや行動に対する、自己満足」なのだという事が判ってきました。だから、私がいくら「理」と言っても無駄なのです。

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