意識している人にとっては当然の事なのですが、ホールの座席(位置)によって聞こえてくる音は全く違ってきます。だから座席料の価格差も存在するわけですが、視覚的効果よりも、音響的効果を重視するクラシックコンサートにおいて、この差は厳しいです。
ただ、割合からすると、座席による音響的な差を深刻に考えている人は、ごく少数だと思います。「何となく、この辺の座席がいいかな?」ってくらいの方がほとんどなのではないでしょうか?
私が何が言いたいのかというと、これまで何度も主張していますように、音楽の本質とは演奏側だけに有るのではなく、聴く側の環境にもあるということです。SQ=Me(a) x Pe(b) x Se(c) + Ae(d) x Se(c) の後半部分なのです。
昨日はあるアマチュアオケのコンサートに、東京オペラシティに行ってきました。このコンサートホールは天井が高くて、私のイメージでは「音抜けの良いホール」って思っていました。
ところが昨日の座席は一階中央部の一番左端(壁より)の座席だったのです。オペラシティでは2階席が張り出しているので、その真下なのです。ここに座ったのは初めてだったのですが、オペラシティのイメージと全く違った音でした。弦の音がこもるのです。しかし、ソロピアノの音はそこまでこもっているとは感じませんでした。だから一貫性がなくて違和感がとても大きかったのです。
私は職業柄、どうしても弦の音ばかりを意識してしまうので、音楽の聴き方が普通ではないというか、不純なのだとも思います。もっと素直に楽しむべきなのだとは思うのですが・・・。
ちなみに壁側の音のこもりを軽減するために、手の平で耳の反射板(手を耳に添えて耳を大きくする感じ)を作ると、良い感じに聞こえました。せっかくの演奏が、低く聞こえてしまうのはとても勿体ないことです。
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