昨年の夏の猛暑で、結構多くの方の楽器のニスにトラブルが生じました。特に、ニスが柔らかいカントゥーシャ作の楽器(60年~90年代作)では、夏になると毎年ヒヤヒヤしながら使用している所有者も多いです(さすがのカントゥーシャも、日本の夏がこんなに暑いとは、思ってもいなかったみたいです)。

 地球温暖化による猛暑は、これからも酷くなることはあっても良くなることはないでしょう。

 楽器保管の理想は、室温を適度に保つことです。しかし、一人暮らしの方で昼間は仕事に出ている方や、または電気代の経済的な理由から、なかなかエアコンを付けっぱなしにするわけにもいきません。

 そこで以前から、「ケースだけを消極的に、そして経済的に冷却できないものか?」と考えていました。

 そこで責任上、昨年にもブログ記事でも紹介した「水循環マット」を実際に購入して確認することにしました。昨年の夏に紹介したときには売り切れていて入手困難でしたが、今はまだ需要が少ない季節のため即納でした。

 青色のビニールマットの中に細い水が通る道が網の目状に配置されていて、その中に本体で冷やされた水が循環する仕組みです。水を冷やす仕組みはペルチェ素子だと思うので、冷却能力はそれほど期待できません。説明書によると、「室温のプラス・マイナス5℃の範囲で調整可」と書かれています。すなわち、室温が35℃の部屋の場合には、ケースを30℃に冷やせるということです。その5℃が重要です。

 冷却能力がそれほど高くないので、室温マイナス5℃しか冷やせませんが、逆にそれだけら楽器ケースを「過冷却」しすぎて結露するというトラブルが起きないと思います。

 実際に使ってみました。マットを広げると意外と大きいです。そして電源を入れてポンプを作動させながら本体に水を注ぐのですが、これがけっこう面倒です。注ぎ口が小さいので水がこぼれやすいのです。

 一旦入れてしまえば、安定して動きます。

 マットの中を水が通っているからと言って、マットが水圧でパンパンに膨れるわけではないようです。「本当に水が通っているの?」って思うほど、水圧は感じません。しかし、マットを持ち上げると重くなっているので、水が通っていることは実感します。

 さてとりあえず、手持ちの丸ケースを置いてみました(今回は楽器は入れていません)。そしてマットを二つ折りにしてみました。マットは丸みを保ったまま折り曲げたら、水は循環するみたいです(本体からはそこそこの動作音と共に温風が吹き出します)。

 現在はまだ3月のため室温が高くないので、ケースは簡単に適度にヒンヤリと冷え出しました。実際の実験は、夏になったら行うつもりですが、興味がある方は活用してみてはいかがですか? 効果は確実に出ると思います。欠点は価格が高いのと、けっこう邪魔になることです。

 断言はできませんが、「冷やしすぎによるトラブル」は無いと思います。真夏にそれほどのパワーは出ないと思います。

補足:ペット用というマットサイズが半分くらいのタイプも売っていますが、実売価格は同じかまたは高いくらいです。ペット用サイズでも、ケースを軽く包むのは出来ると思いますから、マットが嵩張るのが嫌な方は、ペット用サイズがお勧めです。

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