先日、私は「水循環マット」を利用して、楽器ケースの温度管理ができないものか?という記事を書き、実際に実験用の製品を購入してみました。

 ところが偶然に、私の工房のチェロのお客様で、似た手法を実践していらっしゃる方がいたのです。その方が実際に行っているのは、冷却ではなくて保温だそうです。

 そのチェロのお客様の住んでいる地域は寒い土地柄、チェロを保管してる部屋の温度が毎朝かなり下がってしまって、弦が緩んでしまう(糸巻きが外れてしまう)トラブルが頻繁に起きるらしいのです。これは冬によく起きる現象です。このような楽器への急激な変化は、あまり良いものではありません。

 そこで楽器ケースの「安定的な温度管理」を考えたそうです。私の考えと全く同じです。

 もちろん、理想は部屋自体の温度管理を24時間徹底的に行うことです。しかし、部屋の構造的な問題とか、楽器を保管している場所の問題とか、経済的な問題とかで、そうそう簡単な話ではありません。

 そこで、そのお客様は電気毛布をチェロケースにかけて温度管理をする事を思いついたそうです。

 その方の素晴らしい点は、事前に科学的な手法で、実験を行った点です。具体的には、温度計(データロガー?)をケースにいれて、電気毛布の温度設定と、内部の温度上昇の特性を実験したのです。

 結果、電気毛布の温度設定は役に立たなかったそうです。ケースの温度が上がりすぎたそうなのです。だから皆さんは、安易に真似をしないでください。チェロを一発で壊してしまいます!

 そのお客様は、細かく制御できるプログラムスイッチを導入して、実験の上で、チェロケースの理想的な温度管理を手に入れたそうです。そして、それ以降、チェロの糸巻きが外れてしまうトラブルは無くなったそうです。

 科学的な眼で楽器を観察することはとても重要であり、「最短の解決策」でもあるのだと、感心しました。

 

注意:この方のような徹底的な実験も行わないで、楽器ケースに電気毛布をかけるのは、絶対にしないでください。例え温度設定を最弱にしても温度が上がりすぎて、楽器が壊れてしまいます。

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