最近、アナログレコードを再び聴き始めた関係から、特にオイストラフなど、旧ソ連のレコードも何枚も購入しました。

 今では考えられないのですが、不思議な壁の向こう側(私のイメージでは冷たい世界という感じでした)に優秀な音楽家がたくさんいて、それがどういう理由でなのかはしりませんが、敵対している西側諸国で演奏会が催され、そしてとても尊敬され、そして演奏が終わると祖国へ帰って行くのです。

 そして、時々、亡命騒ぎがおきるといのが、大体のパターンでした。

 そういう不思議な時代の、当時のソ連製のレコード(ソ連製メロディア)を聴くと、東西が分断されていた時代を思い出します。子供心に、「不思議の国のアリス」ではないですが、「不思議の国から時々やってくる名演奏家」という、今になってもなんとも不思議な感覚なのです。

 当時、一般人が(まして子どもが)ソ連製の製品を手に取る機会はほとんど有りませんでした。せいぜい、マトリョーシカ人形くらい? その時代のソ連メロディア製のレコードが、どのような経緯を経てなのか、私の手元にある不思議さ。そして実在の重み。これがレコードの醍醐味です。

 アナログレコードは、ネット上にアップされている単なる音楽データではなくて、「何か」を感じさせてくれるのです。

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