私は職業柄、「客観性」、「科学的考察」、「技術的考察」という考え方を一番大切にしています。

 楽器を見るときにもできるだけ「ラベル」を意識しないようにしていますし、演奏を聴くときにも、できるだけ「演奏家」のファンにならないようにしています。

 最近はクライスラーとか、オイストラフとかコーガンとかの演奏を多く聴いています。レコードをたくさん買っている内に、ついついその演奏家のファンになってしまいそうになります。すなわち、私の方からその演奏家を理解したくなってしまうのです。もっと、近づきたくなってしまうのです。

 しかし、それをやり過ぎると、私の客観性は失われてしまいます。「音楽能書き野郎」と変わらなくなってしまうのです。だから、ある程度の距離で線を引く努力をしています。これが意外と難しいのです。

 もちろんこれは、皆さんには絶対にお勧めしませんよ。異常な曲の聴き方ですから。

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