私は「音」の仕組みを常に追求しています。良い音の本質って何か? そして、それをどうやって楽器や演奏に応用できるのか? と、探求しているつもりです。つい最近も、「アナログレコードプレーヤーのノイズの効果」について考えていたところです。
人間は、「音楽」と「ノイズ」という2つの音を同時に聴くと、それぞれの音を別々に聴いたのと違った音に感じるのです。これは「マスキング効果」という現象です。
それを睡眠に取り入れたのが、BOSEの睡眠用イヤフォン「BOSE NOISE-MASKING SLEEPBUDS」です。睡眠時に、あえて雑音(波の音とか、風の音とか)を再生することで、環境雑音が気にならなくなったり、睡眠導入効果があるとのことなのです。詳しい説明はBOSEのホームページを読んでみてください。
特に睡眠に困っていたわけでも無いのですが、音響研究に熱心なBOSEが製品化した商品、さぞ凄い物だと期待して少々高いのですが購入して試してみました。
この睡眠用イヤフォン「BOSE NOISE-MASKING SLEEPBUDS」は、通常の音楽再生用のイヤフォンを一回り小さくした感じの製品です。スマートフォンで操作をして、数種類の環境音が流れるのです。音楽などの再生は全く出来ません。割り切った製品です。
さて、結論から言います。「お粗末」です。こんなレベルで商品化したBOSEの技術力にガッカリしました。
何が良くないのか?
まずは、スマートフォンからしか操作ができない点です。イヤフォン単体でオンオフができないので、寝るときにスマホが枕元にあることが前提なのです。スマホをいつも握りしめている若者なら普通なのですが、私くらいの年齢だと、寝るときにスマホが枕元にあるとは限りません。寝るときぐらい、スマホから離れたいとさえ考えていますから。
次の欠点は、この専用イヤフォンに再生音をスマホからコピーする作業が、数時間もかかるのです。さらに、イヤフォンの内蔵メモリ量の関係からなのか、コピーできる数も数種類しかコピーできません。
次の欠点は、イヤフォンが耳にピッタリして耳栓みたいな感じになります。だから外の騒音を抑える耳栓効果にはなるのです。しかしその逆に自分の息だとか、枕の擦れる音とか、場合によっては心臓の鼓動まで強調されてしまいます。それを打ち消すためには、再生音を大きくすれば良いのですが、そうすると鼓膜への負担(悪影響)が気になります。
次の欠点が、最悪です。再生する環境音はループして、連続して流れます。しかし、このループの時間があまりにも短いのです。だから寝ていて、音がグルグル回っている感が凄いのです。とても、連続音には聞こえません。この睡眠用イヤフォン「BOSE NOISE-MASKING SLEEPBUDS」を使って、同じ音を繰り返し繰り返し聞いていると、ノイローゼになってしまいます。
これが連続音に聞こえる人って、どれだけ音に対して鈍感なのでしょうか?
私には、これが実用的な製品とはとても思えません。唯一素晴らしいと感じたのは、「大きさ」です。このサイズの普通のBluetoothイヤホンを作って欲しいと思いました。
あと、充電ケースの作り(マグネットを利用した、充電端子の接触具合)も良いと感じました。
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