私はSONYのノイズキャンセリング”ヘッドフォン” WH-1000XM3はとても評価しています。皆さんにお勧めしています。

 ところが一見同じ型番のようなWF-1000XM3という”イヤフォン”タイプのノイズキャンセリングイヤフォンは、絶対にお勧めしません。良くないからです。ところが、雑誌やネット上のAVレビューではべた褒めです。そんなわけが無いのです。

 ノイズキャンセリング”イヤフォン”では、BOSEがお勧めです。その理由は、両社においてイヤフォンのパッドの考え方が全く違うからなのです。こういう事を指摘している記事は、私は見たことがありません。

 まず、ノイズキャンセリングイヤフォンという商品において、原理的に絶対重要になるのは、鼓膜(耳の内部)と外界との密閉遮音性能です。ようするに、イヤフォンパッドと耳の穴とに隙間があると、原理的にノイズキャンセリング能力が落ちてしまうのです。

 ノイズキャンセリングタイプでない通常のヘッドフォンやイヤフォンならば、多少の隙間は全く問題ありません。ところが、ノイズキャンセリングタイプだと、「密閉遮音」性能が重要なのです。耳の穴とパッドとの隙間が全く無いのが理想です。

 BOSEのイヤフォンパッドの考え方は、耳の穴の外側に蓋をするという考え方です。だからイヤフォンパッドが大きくて浅いのです。

 ところがSONYのイヤフォンパッドは、伝統的に単純な丸い形のパッドを耳の奥に差し込むタイプです。ところが、耳の穴というのは単純な丸い形はしていません。だから隙間が生じてしまうのです。そのため、SONYもさまざまな大きさのパッドを準備してはいるのです。大きめのパッドを強めに差し込むと、確かに密閉度は高くなります。

 ところが、SONYのパッドを密閉度を高く(すなわちきつめの大きさのパッドを)耳奥まで差し込むと、顎の動き、そして歩いたときの脚の衝撃がゴソゴソと耳に響いてしまうのです。BOSEのイヤフォンではそうならないのです。
 かといって、浅めに装着すると、ゴソゴソ音は出ないのですが、ノイズキャンセリング能力が一気に落ちます。

 これはノイズキャンセリングイヤフォンとしては失格です。だからお勧めしません。BOSEの方が優れています。

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