以前あるヴァイオリニストの方が、「チェロ奏者の方が、倍音を意識しながら演奏している人が多いみたい」という内容の事を言っていました。

 私の想像ですが、おそらく、「ヴァイオリニスト」と「チェリスト」の意識の違いではなく、楽器の音域特性の問題だと思います。

 すなわち、チェロの音は低いので、その2倍音~3倍音もある程度低いので、認識しやすいからだと思います。一方ヴァイオリンの場合にはチェロと比べて元々の音域が高いので、その倍音はもっと高くなって、聴覚的に認識が難しくなってしまうのです。

 すなわち、これがヴァイオリニストとチェリストの意識の違いに繋がっているのだと思います。

 このように、楽器の仕組みとして、ヴァイオリンで倍音を目で見るように感じる事は難しいのです。だからアマチュアヴァイオリン奏者の多くが、倍音を意識しなていない演奏を行ってしまっています。だからちょっとだけチェロの音を観察することで(出来ることならチェロを弾いてみるともっと勉強になります)、ヴァイオリンのもっと良い音が出せるようになるのです。

 それなら、チェロよりももっと音域の低いバスの音ならもっと判りやすいのか? というと、半分はその通りです。しかし半分はそうとも言えません。というのは、バスの最低限の音を綺麗に発音できる楽器は、アマチュア所有のバス程度ではかなり少ないからです。

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