先日、「私が盛んに主張しているのは、「良い音」なのです」という記事の中で、「演奏の質には『演奏(運動)」と『音(楽器の構造)』の2つの側面があります。」と書きました。

 それでは、「演奏」の要因と「楽器」の要因のどちらが重要なのか?

 楽器技術者としての私としては、「半々」と答えたいところですが、冷静に私が考えた感想としては「8:2」とか「9:1」で演奏の側が重要と感じています。

 すなわち、優秀な演奏家ならば、どんな楽器(常識的な範囲で)でも「良い演奏(お客を納得させる)」が可能なのです。

 例えば弘法が道ばたに落ちている藁を束ねて簡易的に筆をつくって、それで書いた書は、おそらく「素晴らしい」はずです。

 ここからが重要です。「それでは、楽器は何でも良いのか?」という結論に達するのかというと、そうではありません。

 優秀な演奏家ほど、自分自身の可能性追求のために、より上を目指しているからです。だから、仮に客観的に、冷静に判断すると「2割」の重要性(重み)しかない楽器の要因であったとしても、それ以上の物を追求するのです。

 逆の事も言えて、楽器(道具)に拘るからそこ、演奏技術が成長できるとも言えるのかもしれません。

補足:アマチュアの場合には、演奏レベルがグッと下がるので、「演奏」:「楽器」の重要性の割合は半々くらいになるかもしれません。

関連記事: