チェロのエンドピンをかなり(極端に)長めに出して、楽器を寝かせ気味にして弾いている人を見かけます。そのような方は、それが自分に合った弾き方なのだと信じ込んでいますが、実は原因があって、そのような演奏にたどり着いているだけの話しなのです。
楽器の演奏(理論)の根本は、多くの方は「自分に合った弾き方」だと思い込んでいますが、実はそうではなく、「理にかなった摩擦力を得るために合理的」なのか? という事なのです。
何度も言うようですが、「演奏とは科学的な根拠があるのです」または「必要なのです」。
さて、そのような方はなぜエンドピンを長くしてしまうのかというと、弓が震えて安定しないので、楽器を寝かせて、その上にそっと弓を置こうとしているのです。
しかし、これでは理想的な摩擦力が得られないどころか、楽器が震えてしまって、逆に弓が安定しません。そしてさらに、各音の発音特性によって、楽器が逃げてしまうために、発音の鈍い音が全く出なくなってしまうのです(その逆に、元々出やすい音の発音は気持ちよく感じます)。
これは(物理的に)理想的なチェロの演奏ではありません。
それではどうすれば良いのかというと、
1.真の意味で性能の良い良い弓を購入すること。
2. エンドピンの長さを他の人(平均的)に修正して、楽器をこれまでよりも立てて演奏すること。
3. 良い弓の性能を利用して、「圧力」を意識して演奏すること(すなわち、弓を弦の上で滑らせない)。
4. 上記の理論に添った、理にかなった調整をすること。
これによって、音は激変します。一番難しいのは、自分自身の考え方を変えようとする努力をすることです。プライドがある人は、それが出来ないのです。
補足:こういうアドバイス(指摘)をすると、「(例えば)ロストロポーヴィッチはエンドピンを長くして、楽器を寝かせているが、それはどうなんだ?」みたいに反論する人が結構多いのです。
天才は、何をやってもよいのです。逆立ちして弾いても、良ければそれで良いのです。自分が天才だと思う人は、私の言うことは完全に無視しても大丈夫です。
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