先日あるお客様との調整に関しての会話の中で、私がそのお客様が使っていた肩当てについて、「この肩当てを使っていると、こういう音になるはずだ」と指摘したら驚いていました。

 私からすると、不思議でも何でもありません。なぜなら、音の仕組みを理解しているので、大体判るのです。

 逆の事も言えて、私が行う調整の全ては、きちんと音響的な意味を理解して行っている事なのです。だから私の調整で楽器の音が激変するのです。もちろんその逆も言えて、「この部品を使ったら音が悪くなる」というのも判ります。

 同じ事は、私のお勧めする楽器や弓に関しても同じです。ちゃんとした理由があるからお勧めしていますし、実際に音(演奏)が変わるのです。

 技術とは科学の上にしか成り立ちません。職人は、学者以上に科学を理解していなければならないのです。なぜなら、机上の空論だけでは済まずに、お客様からお金を取って実践を伴う行為を行わなくてはならないからです。

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