時々、「楽器磨き用のクリーナーは、どれを使ったら良いですか?」という質問を受けることがあります。この時、私は「普段から清潔に洗濯している布で、軽めに拭くだけの方が良いですよ」と答えます。
というのは、市販の楽器用クリーナーでしたら、基本的にはどれを使っても、即、楽器を壊してしまうわけではありません。しかし、問題なのは、その「使い方」と、「作業方法」なのです。
楽器の「汚れの種類」、「汚れの度合い」、「作業の方法」などの様々な要素があり、ケースバイケースで、磨き方は異なるのです。それを的確に行うためには、技術の修業が必要となります。決して大げさな話ではなく、本気で言いますが、それらを自分一人で判断して、自分一人で的確に作業するためには数年の修業(勉強と経験)が必要です。
例えば、楽器を磨こうとして、f孔周辺に強めに力を掛けてしまって、f孔の羽根の部分を割ってしまうというトラブルなんてたくさんあります。楽器のどの部分に、どのくらいの力を掛けて良いのか?それを簡単に言葉で説明できるわけ無いのです。
また、「楽器を掃除していて駒を倒してしまった」とか、「楽器を掃除していて、駒をずらしてしまった」とか、「クリーナーの染みが付いてしまった」とか、書き切れないほどのトラブルがあります。
私は言いたいのは、「楽器を磨く事もとても難しい技術が必要なので、自分では行わずに、専門家に任せましょう」という事です。もちろん、普段の手入れとしての「拭く」行為の事を言っているわけではありません。
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