人間には五感という感覚があります。例えば、視覚とか味覚とか、臭覚、聴覚とかがあります。それらの五感から得た具体的情報が、視覚情報だったり、味だったり、匂いだったり、音色だったりするのです。
例えば、視覚情報、味、音色というものを考えたとき、どれが一番具体的でしょうか? おそらく視覚情報>味覚>匂い>音色の順番だと思います。
それでは視覚情報とは何かというと、網膜で感じた輝度情報と色情報です。人はそれを現実に存在する物に当てはめて、「これは赤色の自動車」と把握するのです。正確に言えば、「これは自動車であり、その色は赤色である」という認識だと思います。
それでは次に味覚(味)を考えてみましょう。味覚は、視覚よりも難しいです。例えば、あるラーメンを食べたとします。普通の人だったら、「ああ、美味しい」で終わってしまいます。ところが料理に詳しい人は、その味覚の味の成分を、具体的な物として把握できるのです。例えば、塩とかこしょうとか、煮干しとか、豚骨とか・・。すなわち味の考察と記憶ができるのです。
次は臭覚です。匂いは難しいです。通常は「臭い!」とか「わあ、いい香り」で終わってしまいます。しかし、専門家は匂いという抽象的な概念を、具体物に当てはめて考察したり、記憶したりするそうです。例えばワインのソムリエは、ワインの匂いの成分を「土のような」とか「バナナのような」とか、「柑橘系の・・」とか、たくさんの具体的なものと置き換えて把握して、考察したり記憶したりします。
さて肝心の聴覚(音色)についてです。皆さんは、どうやって音色というものを把握したり、記憶したりしていますか?
先に述べた「視覚情報>味覚>匂い>音色」の順番って、抽象的感覚の具体的物への当てはめやすさの順番でもあるのです。
と言うことは、音色という抽象的な感覚の中に、いかに具体的なものを見いだすかと言うことが、真の音色の理解や考察に繋がるわけです。「煌びやかな」とか、「澄み渡った」とかの文学的な表現は、一見素敵なのですが、なんの根拠にも繋がりません。評論家(またはオタク)達の自己陶酔の言葉にしかすぎません。
重要なのは科学的な根拠で有り、「理」です。
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