私は技術を追求する上で、必ず何らかの視覚モデル(簡易的な仕組みの理解)を作り上げて実行しています。そうすることによって、自分の考え方がぶれなかったり、またはその逆に軌道(理論の)修正することも可能になるのです。

 「感覚」はあまり信用していません。下手をすると、言い訳の理由としてしまうことが多いからです。あくまでも私自身の話です。

 さて、そのモデルを作る上で一番重要なことは、「目に見える」いう事です。なぜなら視覚情報とは、人間の情報の中で一番強く、記憶と直結できるからです。逆に、音の記憶情報はとても薄いです。従って、音を把握するときにも、周波数グラフとかの「視覚情報」に変換して把握することが重要なのです。

 さて話しがずれてしまいましたが、前々から私が行いたいと思っている「視覚化」の一つが、馬毛と弦のとの間の相互作用(接点)についてです。私は「弓の性能の説明」とか「楽器の調整」とか「毛替え作業」とか色々な具体的な「作業」を行っているのですが、実は一番大切な、「馬毛」と「弦」との接触部分の本当の仕組みを知らないのです。

 だからこれまでにも様々な撮影機器(ビデオカメラ、マイクロスコープ、サーモグラフィー、ハイスピードカメラ等々)を導入(超高価な機器なので中古品しか買えないことが多いです)しては、色々やってきましたが、なかなかそこまでは到達できていません。もっとも、その過程で、微々たる前進でがありますが、いくつも達成してきたつもりです。

 私のホームページやブログを見た方は、「趣味なの? そんな事をしている暇があったら、作業台の前に座って手を動かしたら?」と思われる方もいらっしゃることでしょう。ただ、私の中では、「理解力」と「技術力」とは「=(イコール)」なのです。

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