現在私の工房にカントゥーシャ作のヴィオラとチェロがあります。それに工房のお客様のカントゥーシャ作のヴァイオリン2本を加えて、「クァルテット」セットでの演奏をしたら、どんなに素晴らしいか?

 補足になりますが、通常、「クァルテット」セットとは、製作者がほぼ同時期に、それも同じ木材から作ったヴァイオリン2本と、ヴィオラ、チェロの4本セットの事です。意図的に作られた「4本セット」の事です。
 私がカントゥーシャ工房で働いていたときにも、豪華な鳥目杢の楓材を使った「クァルテット」が作られたこともありました。他の製作者の作でも、凝った製作のクァルテット製作を見たことがあります(4本が同時に収納できる特注ケースに収まっていました)。

 このように本来の意味での「クァルテット」セットは、意図的にセットとして製作された楽器なので、同じ製作者の楽器を4本集めても、「クァルテット」セットではないのですが、拡大解釈して、それを「クァルテット」セットと言う事もあります。

 さて話が少々ずれましたが、このように豪華な「セット」で演奏したら、さぞかし音が揃っていて素晴らしい事だろうと思われるかも知れません。
 しかし、実はそうでも無いのです。同じタイプの楽器を4本集めても、それぞれの特徴が重なってしまって、音に厚みが出ないのです。

 クァルテットは、または合奏は、違ったキャラクターが集まることこそが重要なのです。

 もちろん、クァルテットの4本の内2本が同じ製作者というくらいでしたら、特徴が重なることは無いと思います。あまり気にしすぎないようにしてください(しかしクァルテット中の2本のヴァイオリンが両方とも同じ製作者というのは、ちょっと魅力減に繋がるかもしれません)。

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