以前にもオイストラフ親子演奏による「モーツァルト作曲 ヴァイオリンとヴィオラのための二重奏曲」のレコードの事を書きましたが、このレコード中のオイストラフのヴィオラが凄いのです。
同レコードには「モーツァルト作曲 ヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲」も入っていて、どちらかというとこちらの演奏の方が有名です。しかし、お勧めは二重奏曲の方です。なぜなら、純粋なオイストラフのヴィオラ演奏が聴けるからです。
オイストラフのヴィオラ演奏の何がそんなに凄いと感じるのか、レコードを聴きながらずっと考えていました。
もちろん、音程が素晴らしいとか、指のまわりが完璧で余裕綽々とか、オイストラフの体格からくると想像できる力みのない演奏とか、色々考えられます。
私はそれ以外にも、「ヴィブラートの少なさ」があげられると思うのです。オイストラフはヴァイオリン演奏においても、過剰なヴィブラートはかけないタイプの演奏をしますが、ヴィオラ演奏においてはそれが顕著なのです。もちろん、ノンヴィブラート奏法とか、そういう意味ではありません。
ヴィオラの音をしっかりと出して、音と音程がしっかり出た後に必要最低限のヴィブラートをかけているのです。だからヴィオラの音が柔らかいのに、音に芯を感じるのです。おそらく、「ヴィオラ」という楽器を理解したうえでの確信的な奏法だと感じます。ヴァイオリニストなのに、ヴィオラという楽器を理解しきっているのです。
興味がある方は、工房にいらしたときにお聴かせしますから、ご要望ください。
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