駒の位置って、比較的新しい製作の、製作精度の高い楽器の場合には、「ここ」と、ピンポイントで決定(指定)できます。
例えば、きちんとした製作のヴァイオリンの胴体のサイズが355mmの場合には、ネックの長さが130mmで、メンズア(駒中央までの距離)が195mmとなります。そこの位置にf孔の内側の刻みが付いているはずです。従って、f孔の内側の刻みを駒の中心に合わせるというのが基本です。
ところが古い楽器だとか、イレギュラーな寸法の楽器とかの場合には、明確には駒の位置を判断できません。または最近流行のイミテーション製作楽器でも、f孔が変な位置に付いていたりします(手本にする古い楽器がそうなのです)。
ネックの長さが微妙に短かったり、f孔の位置がかなりずれていたり、胴体の大きさが大きかったり・・・。
そこで技術者は、複数の様々な技術的な根拠の元での総合的な判断で駒の位置を決定し、それを前提として魂柱の位置とかも調整を進めます(技術者間でも考え方が異なったりします)。
時々、自分の中途半端な知識とか、または教わっている先生(またはオケに指導に来てもらっているトレーナー)の判断で、「駒の位置が間違っている」と明らかに間違った位置に修正されてしまっている楽器も多いのです。
駒の位置は、自分が調整でお世話になっている、その技術者以外には触らせないようにしてください。ちゃんと、一貫した根拠のもとに駒位置を決定しているはずですから。
それでは、自分で(または先生が)修正しても良いのは何かというと、「駒の倒れ」「駒の捻れ」「楽器の中心線に対しての傾き」などの修正です。または1mm以内の微妙な位置ずれなどは修正してもかまいません。
まあ、「気になる事があれば、楽器店に駆けつける」というのが最善な行動です。