ニスの色修正(レタッチ)の技法には、大きく分類すると次の3つがあります。全ての技術者は、それらを技術をミックスして、自分なりの技術として追求しています。
1.平面の塗り
一番基本的な塗り技法です。しかし、実際にはとても難しいのです。筆の刷毛むらが生じてしまったり、表面張力で乾燥の過程で染料成分が寄ってしまって、むらが出たりしてしまいます。
2.奥行きの塗り
すなわちニスの層として、色を調整する高度な技法です。同じ色のニスでも、層の厚さで色の印象が変わりますし、複数の色を重ねて色調整をすることもあります。
しかしこの技法も難しいのです。乾燥するまで次の層のニスが塗れないし、最悪、塗っている間に下の層を溶かしてしまうこともあります。この技法は想像力が要求されます。
3.点描での塗り
これは色修正でよく使う技法です。ルーペで楽器の表面を観察しながら、下地や他のニス、または汚れなどと合わせて色を着けていく技法です。大きな失敗はしませんし、雰囲気を出すには具合が良いのですが、欠点は大きな面積が塗れないということです。
実際には、これらをミックスして用いるのが一般的です。・・・なんて言葉で言うのは簡単なのですが、実際に行うとこれがまた難しくて・・・。