私がしつこいほど、「自分で選んではいけません。将来にわたって、末永くお世話になりたいと思う楽器店(工房)にて、紹介してもらった楽器を信頼して購入してください」と主張しています。

 なぜ、そこが紹介する楽器が良いと言えるのでしょうか?

1. 「将来にわたって末永くお世話になりたい」と、真剣に感じている位ですから、その楽器店(工房)の修理・調整技術は本物だと思います。技術者の私が言い切りますが、通常の地味な技術ほどお金にはならないのですが、難しいのです。そして、真面目で無ければ、お客様を長期間にわたって満足させる技術を提供し続けることはできません。ようするに、一時的なはったりでは、お客様は飽きて離れてしまうのです。

 そういう技術があって、真面目な楽器店(技術者)が仕入れる楽器が、悪いわけがありません。ちゃんと技術的な根拠を理解できる能力が有って、そして様々な内容を把握した上で、仕入れ基準を満たした楽器のみを仕入れているからです。

2.上記の「技術があって、真面目な楽器店(工房)」は、仕入れた楽器をきちんと修理だとか調整した上で技術的責任を持って販売します。だから悪いわけがないのです。ようするに、単なる売るだけの商売人ではないのです。

3.「将来にわたって末永くお世話になりたいと思っているような技術のある店」のお客は、楽器購入後にも引き続き継続して調整に通います。楽器店側からすると、楽器を販売した後の楽器の状態に対して、ヒシヒシと責任を感じているはずなのです。だから、後で粗が出るような楽器を仕入れて売ることはしません。後で自分が苦労してしまう楽器を売ってしまうと、自分で自分の首を絞めることになるからです。

4.楽器の性能で重要なのは、購入当初の楽器そのものの性能の高さが一番重要ではあります。しかし、購入後の一貫した高度な技術による調整の継続も、楽器の性能に大きく関わってきます。「将来にわたって末永くお世話になりたい」と思うような、技術力のある楽器店(工房)の調整は素晴らしいはずです。それで購入した楽器は、さらに輝くはずなのです。
 技術者側から言えば、その後の調整で苦労するようが楽器を、わざわざ売ることはしないのです。自分が面倒になるだけだからです。

5.楽器の善し悪しや、楽器の好みなど、楽器店の技術者の考え方だとか、演奏の先生の考え方によって人それぞれ違います。よくある話ですが、ある楽器店から購入した高価な楽器を、別の楽器店でボロクソに言われるとか、ある先生の紹介で買った楽器を、別の先生がボロクソに言うとか、あるあるです。それは超高価な銘の有る楽器でも、影では言われます。
 購入時は信頼していた自分の楽器でも、そんな否定的な事ばかり言われ続けると、どうしても不信感をもってしまうものです。だから、そんな事を言われないように、販売した楽器店にずっと通い続ければ良いのです。なぜなら、販売した楽器店は、その楽器の事を本当に良い楽器だと信じて販売したわけですから、後になって悪いと言うわけがないのです(もちろん、より上のグレードの楽器を勧められることはあります)。

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