先日、私の工房のお客様のヴァイオリン奏者の主催の生徒さんの発表会のビデオ撮影のお手伝いに行ってきました。

 この先生、とても理にかなったボウイングをされる方で、さらに私の弓の性能の理論について納得してくださって、私のお勧めの弓を(初対面で)即決で購入してくださったくらいなのです。さらにその後、その生徒さんで私の工房にて弓や楽器を購入してくださった方も何名かいらっしゃいます。

 ビデオ撮影を行っていると、聴衆として聴いているのとは感覚が違います。ファインダーの中で演奏者を客観的に観て撮影し、さらに撮影後にも家で何度も画質チェックだとか、編集などで映像を繰り返し見直すからです。

 すなわち、客観的な観察者となるのです。意識してそうなるのではなく、おそらく撮影者は誰でも自然とそうなってしまうものです。

 それで本題なのですが、生徒さんのほとんどが、先生のボウイングに似ているのです。もちろんレベル的に同じとは言えませんが、方向性としては近いと感じました。腰の強い弓で、弓竿の反りを残したまま(すなわち弓毛を平行にパンパンに張っていない)、弓が弦に吸い付くようなボウイングをしているのです。レベル差こそあれ、生徒さんの弓も、大きな圧力はかかりながらも、スッと弦に吸い付くようなボウイングに感じました。

 先生が演奏の指導をしているのだから、似てくるのは当然と言えば当然かもしれません。技術者側の私の視点からすると、先生と同じ指向の弓を使わせて(購入させて)いると言うのも大きな事だと思います。理にかなった演奏をする先生のお弟子さんは、皆お上手なのです(おべっか半分あり。半分は真実)。

 

 何が言いたいのかというと、技術とは自分でゼロから生み出せる物では無いと言うことです。すなわち、人から教わる物だという事です。

 「人」に教わりましょう。「人」と関わりましょう。ネットで情報検索しているようでは人生の貴重な時間の無駄です。

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