現在調整に来ているカントゥーシャ作のヴァイオリンは、かなり前に私が調整して販売したヴァイオリンです。

 偶然なのですが、現在在庫のヴァイオリンと一年しか製作年が違わなく、そして材料もとても似ているのです。おそらく同時期に仕入れた、同じ木材かもしれません。表板がハーゼフィヒテで、裏板が眼杢がついている一枚板のカエデ材です。

 カントゥーシャ作の製作精度は、どの楽器間でも寸法のバラツキがほとんど無くて、音も近いです。

 今回の2本のヴァイオリンの場合には、木材も(多分)同じなので、製作精度にバラツキがないので音が酷似しているのです。所有者が弾いても、「とても似ている」と言うくらいそっくりな音でした。

 これはカントゥーシャ作のヴァイオリンが、カントゥーシャ氏の製作理論のもとで高精度で、バラツキ無く作られているという証拠でもあるのです。楽器の音って、たとえ同じ製作者が同じ木材を使って製作しても、意外とバラツキが出てしまうものです。

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