プロ、アマを問わず、全ての弦楽器演奏者の目的は、演奏する事です。
だから演奏の映像を観たときも、どうしても演奏(音楽)、または奏法を観てしまいがちなのです。すなわち、聴いてしまいがちなのです。しかしそれでは「演奏運動の研究」にはなりません。
そこでお勧めするのは、スローモーション映像を視る事ですです。
スローモーション映像を再生すると、音は出ません。それが実に好都合なのです。音が出ないことで、映像、すなわち運動に眼と脳を集中できるのです。
殆どの方は、スローモーション映像のイメージは知っているでしょうが、実際にそうして演奏の運動をじっくり研究した人はいないと思います。なぜなら、音が出ないからです。しかし、音が出ないことが重要なのです。音とは、運動の結果でしかないからです。
これまで何度もお勧めしている、4K映像のスローモーションは素晴らしいです。
BDでもスローモーション再生は可能ですが、BDの場合その規格(毎秒60インターレースフレーム)上、どうしても静止画がボケてしまうのです。だからスローモーション映像も、弓と弦が接する部分などの細かな部分が、ボケて見えてしまうのです。
それに対して、4K映像(毎秒60プログレッシブフレーム)のスローモーションは、リアルな運動に感じます。さらに映像が高解像なので筋肉の動きなども見えてくるのです。
みなさん、私の言っている事が大げさに思うかも知れませんが、だまされたと思ってスローモーション映像を視てください。多くの得るものがあるはずですよ。私は音を追求している技術者として、本気でお勧めしています。
例えば、自分がレッスンを受けている先生の演奏の4K UHD-BD(またはBD)があったとします。それをスローモーションでじっくり観察して、その動き(すなわち演奏)を真似する努力(出来る出来ないは別として)をしてみてください。そうしたら、レッスン中における指導の意味が、もっと理解できるようになるかもしれん。
補足:過去の巨匠達の古い映像(DVD等)をスロー再生しても、あまり意味はありません。スロー再生に対応できる映像情報量が元々入っていないからです。
補足2:上記の「スローモーション映像での研究」とは真逆の、「高音質の音だけを聴いて、映像はあえて視ない」という研究も平行して行うとさらに効果的です。私が以前から主張しています、「演奏者としてのオーディオ」という内容です。
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