ずっと前から私のホームページやこのブログで、何回も「電子チューナーを使うのは良くない」と主張し続けてきました。

 ところが、流れはまったく逆です。私の工房のお客様でさえ電子チューナーをケースに入れている人もけっこういますし、学生さんなんかは特に疑問も無く使っているみたいです。検索でも「電子チューナー」での検索がとても多いのです。

 なぜ電子チューナーがこれほどまでに普及しているかというと、「本質なんかどうでもよいから、目先の演奏をこなしたい」という安直な考え方からです。

 問題集の解答模範や答えを見ながら、問題を考えているのと同じです。

 電子チューナーを日常的に活用している殆どの人は、正しい調弦をすることで、理想的な練習が可能になると思い込んでいます。しかし、正しい調弦の意味が判らない人が、フレットも付いていない弦楽器の音程を理解できるわけが無いのです。

 練習で一番重要なのは、「まずは調弦」です。

 もちろん最初は旨くいかないと思います。しかし、じきに上手になるのです。しかし電子チューナーで「答え」を教わりながら調弦を行っている人は、その調弦の結果の意味が理解できないのです。なぜなら、答えが正しいという先入観だけで調弦を完了していますから。

 問題集の答えも、自分で試行錯誤したものと、解答とを比較してはじめてその意味が判ります。最初から解答を答えとして受け入れても、それは単なる「判ったつもり」になっているだけです。

 まあ、私の工房のお客様以外の方は、好きにしてください。ただ、私の工房のお客様は、私を信用してください。電子チューナーは使わないでください。

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