私は「弦楽器業界は、スポーツ界と比べて非科学的で遅れている」と、嘆いています。

 しかし、それでも最近は少しだけは改善されています。

 私がこの業界に足を踏み入れたばかりの頃(1980年代半ば)、すなわち無量塔藏六親方の門を叩いたばかりの頃は、演奏家も含めて、この業界はあまりにも非科学的な価値観ばかりがまかり通っていて、違和感のオンパレードでした。

  例えば、「楽器は古くなるほどに木材が枯れて音が良くなる」などという安直な考え方だったり、「ヴォルフ音は不思議な現象」みたいなオカルト的な考え方だったり・・・。「楽器の音はニスで決まる」とか、それはもう呆れたものでした。

 その「おかしな業界」を少しでも普通(大げさな話では無くて、ごく”普通”に)に修正したいとの自然な考え方から、私は音響実験だとか、それを発表するためにパソコン通信(懐かしい!)などを始めたのです。

 それからもう37年経ちます。

 大きな流れとしては、相変わらずの非科学的考え方だとか情報が蔓延しいる業界です。しかし少しはまともになった部分もあります。特にアマチュア演奏者で、理系・技術系の方々は、積極的に私の考え方を理解してくださります。

 例えばその様な方々は、チェロのヴォルフ音なども不思議なオカルト的な現象では無くて、駒の振動運動と楽器本体の低共鳴モードとの干渉によって起こる「うなり現象」であるという事は、理解してくださります。

 このように、理解してくださる方は増えていると感じます。ただ、肝心なプロの演奏家が・・・・。

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