ヴァイオリン~チェロにおいて全て共通ですが、この業界は「弓の性能」というものを勘違いしています。というよりも、「弓の性能」の物理的根拠を理解しようとも思っていないし、その能力も無いのです。
それどころか、科学とか物理とかを、音楽や芸術の相反する物だと業界自体が拒絶する風潮でもあるのです。
簡単に言ってしまえば、「演奏者が良いと思える物が、良い楽器や、良い弓だ」という考え方です。
これは間違えです。「理」にかなっていない道具(またはそれに伴った運動)は結果が出ません。これはスポーツ界では当たり前の考え方なのです。
例えば、弓の性能が低い演奏者は、楽器の表面を撫でるように軽やかに演奏しています。これが良い演奏だと勘違いしているのです。
ところがそんな演奏では音の深さ(音量の幅)が出ないのです。ボウイングばかりが速いので、一見ダイナミックな演奏に見えるのですが、音はその逆なのです。演奏者によっては、弓の溜めが効かずに、弓を何度も返し気味なボウイングになりがちです。
これはチェロでも同じです。この手の弓の性能が低い演奏の特長として、エンドピンを少し長めにして、楽器を寝かせ気味にして、指板寄りを速いボウイングで演奏しているのです。そうすると、柔らかめな音が出るので、それがチェロの低音と勘違いしているのですが、そんな音は音量の幅がでないので音のダイナミックレンジが狭くて音楽を表現できません。
また音色が柔らかいので、音が遠くまで届きにくいのです。
例えば良い弓を使って(もちろん楽器本体も)、私が製作した”Zauberplatte”で演奏すると、「床」を感じるはずです。「床の反発抵抗」と言った方が正しいかもしれません。
チェロは床で弾くのです。床への圧力で弾くのです。だから”Zauberplatte”の意味があるのです。
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