ホルン吹きのA氏からお誘いがあって、昨日のウィーン・リング・アンサンブルのサントリーホール公演に行ってきました。つい先日のテレビのニューイヤーコンサートでウィーン・リング・アンサンブルの演奏を見たばかりでしたので、まさかその直後に実物を聴けるとは思っていませんでした。
以前にもこのブログで書きましたとおり、キュッヒル氏の演奏は凄かったです。演奏技法がどうのこうのではなく、「理にかなった運動」と「それに伴う摩擦力」を生んでいるのが、一目瞭然なのです。全ては「芸術ではく、物理」です。これはスポーツの世界と同じはずなのです。
彼らの演奏に感動しながらも、しかし私の職業柄冷静に観察しましたが(職業病で、純粋に演奏会を楽しむことが出来ないとも言えます)、今回の演奏会でも、私が普段主張していることは間違ってはいないという確信を持てました。
ちなみに、キュッヒル氏だけでなく、その他の弦楽器演奏者も観察しましたが、弓毛をパンパンに張って演奏している人はコントラバス奏者も含めて5人中一人もいませんでした。すなわち、良質な弓で、弓竿に反りを保たせた状態で演奏しているのです(すなわち、「圧力」と「下向きのベクトル」を得て演奏しているのです)。その中でも別格に感じたのは、やはりキュッヒル氏でした。
良い音にはきちんとした「物理の法則にのっとった、理にかなった理由」があるのです。逆の事も言えて、理にかなった事を着実に実行していけば、目的の音に近づけるはずなのです。すなわち、確実に効果が現れるはずなのです。
ウィーン・リング・アンサンブルの演奏は、「凄い」の一言でした。曲柄、もっとお気楽な演奏なのだと思っていましたが、そうではありませんでした。凄かったです。
アンコールで演奏した「青きドナウ」などは、たった9人でもその辺のオケ(失礼な言い方ですが)の演奏よりも厚みがあるとさえ思えたくらい、素晴らしかったです。
今回も貴重な演奏会に誘って頂いたA氏に感謝です。
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