1週間くらい前の新聞のコラムに「最近の演奏者は個性がなくなった」というようなことが書かれていました。さらにその翌日には、その新聞の話題とは全く関係なく、私の工房のお客との会話の中で「昔の演奏者は、個性があった!」という話を聞きました。
しかし、私は「最近の演奏者には個性がなくなった」とは思えないのです。なぜなら、もしそうだとしたら、演奏のレベル、音楽のレベルは日ごとにに劣るはずだからです。しかし現実には、この2~300年の間に、上がってるとは言い切れないまでも、劣っているとも思えないからです。
私の結論は、最近の演奏家の個性が無くなっているのではなく、聴く側、すなわち自分自身の「感受性の低下」だと思うのです。感受性の高い時期に聴いた音楽はいつまでも記憶に残り、すなわち「その演奏者は素晴らしい!」となるわけです。
一方、イライラしたとき、毎日に生活に追われているときに聴いた音楽は、特に大きな印象も残りません。そこで「個性の無い演奏」となってしまうと思うのです。
音楽の本質は、向こう側にあるのではなく、こちら側にあります。
今の演奏者も将来、「当時の演奏者は個性があった」と言われると思うのです。
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