悲しいかな、派遣社員の首切りや、リストラの話題ばかりの昨今です。
私のWEBの「弟子の募集」の項目を読んでいただければわかりますが、とても厳しい内容が書かれています。しかしそれは、募集してくる弟子の将来に対して真剣に考えているからこそです。弟子を使い捨てのように都合良く利用しようとは思っていないからです。
私は「弟子教育」、「職人世界の未来」について常に考えています。弟子教育でもっとも重要なのは、「基礎を教える」ことなのです。弟子教育のほとんどは「基礎(基本)を教えること」だと言っても過言ではありません。そしてそれこそが一番難しい内容なのです。
よく、最初に教わる基本が一番簡単なレベルの内容だと勘違いしている人が多いのですが、全く逆です。最初の「基本こそが全て」と言ってもよいほど、重要なのです。ある意味、「応用」は自然とどうにかなるものです。
その重要な「基本」は独学ではどうにもなりません。だから辛い思いをしてでも人に教わるのです。そして重要なのは、それを吸収できることのできる柔軟な頭の年齢というもの限られいることです。10代~20代半ばくらいまでです。
最近の若い人は、人生でもっとも大切なこの時間の重要性に気がついていません。その期間にアルバイトで転々と職を変えたり、目先の給料の良さ目当てで短期間の職に就いたりしています。それどころか、現実逃避で家に引きこもっている人も多いらしいです。あまりにものんびりしています。
スポーツと同じで、30歳を過ぎてから気づいて勉強を一から始めようとしてもなかなかうまくいくものではないのです。吸収できる能力が、20代の時と比べて確実に劣ってくるからです。
このような大切な時期の若者を、企業は目先の利益優先で、派遣社員として雇ったり、またはアルバイトとして雇わないで欲しいです。日本の国の財産として、正社員として若いうちから雇って、長期にわたって育てて欲しいのです。
もちろん経営的にそんな甘いことを言っていられないのもわかりますが、しかし「誰かが育てなければ、必要なときにその人材は存在し得ません」。林業などと同じです。
もちろん私は私の小さな範囲の事だけを一生懸命貫くしかないのですが、しかし昨今の「派遣社員切りのニュース」を聞いていると、日本はこれで大丈夫なのか?と不安になってくるのです。
大企業はCMで「環境に配慮しています」とかきれい事ばかり言っていないで、現社員やそしてこれからの戦力(すなわち若者)の事こそを真剣に考えて欲しいです。
そうそう、私が一番言いたかったのは、大企業へのクレームよりも、「若者のノホホンさ」への忠告です。25歳を越えたら、もっと焦るべきです。
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