最近、あちこちで「高音質、ハイレゾ」って聴きます。流行語と言っていいほど、あちこちで聴きますが、本当に音の違いが判っている人って、どの程度いるのでしょうか?

 例えばつい数年前までは、バカの一つ覚えのように「iPod最高!」っていっている人がたくさんいました(特に若者に)。我々”おじさん”は、高級オーディオ世代なので、「そんなガチガチに圧縮している音源よりも、リニアPCMでしょう」とか、「そんなポータブルプレーヤーと、ちゃちなイヤフォンで何が聴けるの?」と、冷ややかな目で見ていました。

 ところが今度は一転、「ハイレゾ!」です。もう、音色の違いが判っていて「ハイレゾ!」って騒いでいるとは思えないのです。単にメーカーの宣伝文句に乗せられているか、または「ハイレゾ」って言葉で安心したいのでしょうか?

 同じ事は弦楽器にも言えて、性能が判らないから(本人は微塵もそうは思っていませんが)、「ラベル」とか「価格」とか「年代」とかで安心したい人がほとんどなのです。楽器の本質が判っている人が、いったいどの程度いることでしょうか?
 またiPodの携帯プレーヤーで、本体はちゃちなのにケーブルだけを一点豪華主義な製品と交換して、高音質気分を楽しむ風潮もあります。もちろん私も、オーディオに凝っていた時期がありますので、判らないでもありません。しかし、本質部分はケーブルにはないのです。これは弦楽器でも同じです。本体の質が悪いのに、または本体の調整が全くいい加減なのに、本人の自己満足だけで一点豪華主義的に高級部品を付けて(それも調整の意味も知らずに)悦に入っている楽器マニアが沢山いるのです。それのどこに意味があるでしょうか?

 もちろんスペックとしてのハイレゾ音源が悪いことはありません。しかし、「ハイレゾだったら高音質」という事はないのです。総合的な見地から、冷静で客観的に見て、「どこが重要なポイントなのか」または「どこは譲れない場所なのか」を正しく判断して、お金をかけ、そして効果的な結果を導き出す事こそが本物なのです。

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