ヴァイオリン(族)愛好者は世界中にもの凄くたくさんいます。なぜこのように魅力的なのか?私は常に考えています。

 ヴァイオリンの音の魅力の仕組みとしていくつか考えられるのですが、その内の一つが「擦弦楽器としての音」です。多くの楽器の発音原理は、打音、撥弦などの調和振動原理によって音が生まれます。簡単に言ってしまうと、一番最初に振動板をガツンと振動させて、あとは自然に減衰していく音色なのです。このような楽器は、太鼓、ギター、ピアノ等、多くの楽器がそうです。
 ギターやピアノ(チェンバロ)などの撥弦(打音)楽器の特徴として、一つの音を出した後に、直ぐ次の音を出す操作に移ることができるという特徴があります。すなわち、複雑な演奏(重音、和音)も可能になるのです。

 一方、連続した音を出せる楽器の代表は、「歌声」です。その延長として、管楽器が存在します。管楽器の音色は、人の歌声を連想させるのです。実際、ブレスのタイミングとか、歌声とそっくりです。もっとも、管楽器は気柱をダイレクトに操作して(共鳴させて)、音量を出すという点では、歌声と若干異なります(それとも身体の作りとして、全く同じ原理なのか?詳しいことは専門家に訊いて下さい)。

 さて、擦弦楽器のヴァイオリンの特徴とは何か?それは、上記の2パターンの楽器の両方を兼ね備えている点です。振動板を叩く発音の特徴と、歌声のように連続した音色(単調な連続ではありません)の両方をもった、複雑な音色を持っているのです。同じ事は二胡にも言えるのですが、ヴァイオリンの方が弓が発達しているので、より複雑多様な演奏技法が存在します。

 このような複雑な要因がヴァイオリンの音色の魅力なのですが、「究極の楽器は何か?」と尋ねられたら、私は「歌声」と答えます。母の子守歌や、胎児の時に聴いていた母の声なのかもしれません。いやいや、歌声は楽器ではないので、やっぱり「ヴァイオリン」かな?他の楽器の人には怒られるでしょうが。

 ああ、そういった意味では、人の声に近いヴィオラの音って、最高ですよ。ヴィオラの演奏者にちょっと・・って感じの人(貪欲さがない。お金をかけない人)が多いのが残念ですが。

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