この仕事をしていると、楽器は「イタリア製」、弓は「フランス製」を求めている人や、またはすでに購入している人がいかに多いというのを実感します。しかし、それらの国の楽器や弓が特別優れているわけではないのです。事実、値段が高いだけで、低い性能のものを買ってしまったと、後で気づく方も多いのです(悲しいかな、気づきさえしない人も多いのですが)。

 もちろん、良い楽器もあります。しかし、確率的に特別優れているわけではないのです。

 それならなぜ、購入する人が多いのか? それは日本人が「ブランド好き」で、さらに「横並び指向」だからだと思います。人と違ったことをするのが怖いのか、社会的に浸透している風潮を重要視する傾向にあるのです。だから、評判が良いとされる「ブランド」または「ラベル」にこだわるのでしょう。それが割高であっても。

 同じことは、ファッションブランドにおいてもいえます。皆、「流行」といわれる風潮にのって、同じ格好を恥ずかしげもなく行っているのです。また、某A社製スマートフォンのシェア率は、海外と比べて日本がダントツに高いそうです。人と同じものを選んでいると、安心できるのでしょうか?

 会社の「大企業指向」についても同じです。そして、そんな会社の役職に就いたといって威張っている人もいます(最近は少なくなりましたが)。大きな会社は安心できるのでしょうか? 逆に、小さな会社で「第二のスティーブ・ジョブズ」や「ビルゲイツ」または「本田宗一郎」を目指そうとは思わないのでしょうか?

 「本物(人や物)」を知りたかったら、または「本物」と出会えたかったら、一般的な評価や風潮にとらわれてはいけません。それどころか、人と違った方向を探る努力が必要なのです。人と同じことをやっていたら、「平均的」で終わってしまうからです。

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