今日は弓の修理をするために導入を検討している「超精密スポット溶接機」の講習を受けに、御徒町の彫金ショップに行ってきました。

 これまでは、宝飾関連や、我々の扱う楽弓の銀・金細工の製作、修理において、鑞付けという技法で金属同士を接着する方法が用いられてきました。ところがこの技法、接着する金属を真っ赤になるまで熱しなければならないのです。従って、既に完成している製品の修理に用いるのは難しかったのです。

 例えば弓フロッシュの「半月リングの割れ」などは典型的なトラブルです。しかし、鑞付けするために半月リングを熱してしまうと、ただでさえ薄くて壊れかけている金属が溶けたり、正常に付いていた反対側の接着面が剥がれてしまったりするのです。そのため、割れている半月リングを修理することは困難でした(新たに作り直すことがほとんどでした)。

froschring

 ところが溶接機の技術が進歩して、繊細なスポット溶接も可能になったのです。特にレーザースポット溶接機などは理想的な溶接機です。しかし、価格があまりにも高すぎるのと、装置が大がかりなところが非現実的です。

 現実的な線としては、「精密アーク溶接機(アルゴンガス併用)」というアメリカ製の溶接機です。使い方によっては先のレーザー溶接機のような精密なスポット溶接が可能となるのです。今回はその溶接機の使い方を教わりに行ってきたのです。

 問題は150万円という価格です。どう考えても、弓の修理だけでは元が取れません。

 

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