Orion精密アークスポット溶接機とは、針先から金属に、小スポットの大電流を瞬間的に流すことで、スポット溶接を行うための溶接機です。目的としては、レーザースポット溶接機とほぼ同じですが、原理が違います。レーザースポット溶接機が非接触であるのに対して、Orion精密アークスポット溶接機は針先による接触タイプです。

そのメリットは次の点です。
・レーザースポット溶接機と比べると比較的安価
・省スペース。
・レーザースポット溶接機と比べるとハイパワー。
・私が所有している高機能タイプ(Orion 200i2)の場合には、レーザースポット溶接機に劣らないくらいの電流プリセットがある(重要)。
・レーザースポット溶接機には入らないような外観が大きな対象物へのピンポイントの溶接作業も可能。

デメリットは次の点です。
・対象物に針先を接触させる必要がある。
・対象物にクリップなどでアース線を繋ぐ必要がある。
・針先のとがり具合を頻繁にメンテナンスする必要がある。
・針先の角度などで、溶接の具合が全く異なってくる。

 Orion精密スポット溶接機の最大の欠点は、同じ溶接を続けて行うことが出来ないことです。上でも書きましたように、針先の劣化や、針先を当てる角度などで溶接の具合は全く異なってきます。原理的に、同じ溶接を連続して続けることは不可能に近いのです。これはある意味致命的です。

 技術さえ有れば上記の動画のような作業も原理的には可能です。しかし現実的に使いこなすには、とても高度なこの機械専門の職人技が必要となります。

 この溶接機を使いこなせた人にとっては、高価なレーザースポット溶接機とほとんど同じ作業が可能になります。しかし私もそうですが、多くの人はそんな高度な使いこなす技術力は無いので、いずれ本格的なレーザースポット溶接機が欲しくなって、買い増しする傾向にあるそうです(ショップの人談)。

 ただ、この溶接機械でしか出来ないような作業もありますから、Orion精密スポット溶接機は手放せません。

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