昔のスポーツ界は「根性論」、「精神論」が真っ先にきていました。もちろん現在でもそれは「一番大切な要素の中の一つ」です。それ自体を否定するわけではありません。しかし現在のスポーツでは、もっと「科学」、「理論」、「観察」等の手法を積極的に活用しています。
なぜなら「筋肉は、脳が指令を出して動かしている」からです。これは弦楽器演奏においても全く同じです。
日本の弦楽器演奏教育は昔から「演奏技術」と「楽典等の音楽理論」教育を主に行ってきました。それは音楽大学の教授の略歴を見れば一目瞭然です。もちろんそれを否定しているわけではありません。しかしそれでは車の片輪で走っているようなものです。
楽器側の技術論、物理学的な教育、そして演奏における観察手法など、まさに現在のスポーツ界が当たり前におこなっていることが不足しているのです。例えば、何度でも書きますが、「弓の理論」を知っていれば、自分自身の「壁」が何だったのかを客観的に見つけることが出来ますし、また値段が高いだけで変な弓を購入してしまうということも少なくなります。
弦楽器演奏においても「脳が指令を出して筋肉を動かし、適切な道具を通して、エネルギーを空気振動に変換する」ということを行っているのです。
もしも「理論」を頭が理解していなかったらどうなるでしょうか?あるときにはうまく演奏できたのに、あるときにはうまく演奏できなかったり、一貫性が生まれないのです。または間違った奏法(楽器の発音)を一生懸命練習してしまうとか、ここには書ききれないような「物理的な要素」がたくさんあります。「理論」を理解して、「適切な道具」を用いて練習すると、ものすごく効率的なのです。これはまさにスポーツと同じです。
音楽には芸術性とか精神的な表現とかもありますが、それと同じくらい(それ以上?)「物理的な要因」が含まれているのです。
それではどうすればよいのか?
・物理的な理論(物理学という意味ではありません)を勉強する。
・適切な道具を選ぶ(そのためには高度な技術者が必要になります)。楽器の構造論も重要。
・調整の重要性。
・自分への観察力(録音やビデオ撮影)