先日、スポーツ(野球とか陸上競技とか)のトレーニングに、「積極的に科学的計測を行って、具体的な目標値を定める」という内容の番組がありました。
以前にもメージャーリーガーのトップクラスの投手が、ボールの回転だとか軌道だとかをリアルタイム計測して、その場で自分の動作を修正している映像を見たことがあります。
これって、現代のトップアスリートのトレーニングにおいては、大小こそあれ珍しい考え方ではありません。しかし、残念ながら音楽界(演奏界)においては、ゼロとは言いませんが、浸透した考え方ではありません。それどころか、「芸術」を汚す行為とさえ考えている人が多いのです。
しかし何度でも主張します。演奏の本質とは「物理法則のもとにおける、理にかなった運動」です。これはスポーツと基本的には同じなのです。一番重要なことは、自分の価値観を変える(修正する)努力であり、自分の殻を外から叩いてくれる(それって、とてもパワーのいる事なのです)人だとか道具を確保する努力なのです。
追記:例えば20年~50年前に、スポーツの世界で「積極的に科学的計測を行って、具体的な目標値を定める」なんて事を主張しようものなら、「そんな能書きを言っている暇があったら、身体を動かせ!汗をかけ!根性だ!」って怒られたはずです。・・・これが今の演奏界の状態なのです。