先日工房に、ある高校生の子が親子で弓の試奏にいらっしゃいました。音楽の道を目指している子で、とても上手な子でした。しかし、私がいつも説明する「圧力3×スピード3」奏法によって、一小節のクレッシェンドを行わせようとしても、どうしても旨くできないのです。練習曲はとても上手に弾けるのに、です。
その逆に、例の「一小節のクレッシェンド」を聴いている人がゾクッとするほど弾きこなせる方は、即、演奏曲にも応用ができて、その表現力の激変ぶりに驚くのです。
それではなぜその高校生がクレッシェンドを弾けないのかというと、次の2つが想像できます。
1. 単純に演奏技術自体がまだ未熟。
2. まじめが故に、親や現在教わっている先生の考え方(教え)が行動にストッパーをかけてしまって、私の言っている事を試せない(自分を変えられない)。
これまでの私の経験では、例の「圧力3×スピード3奏法による一小節のクレッシェンド」の表現力と、実際の曲における音の表現力は、単純に等しいと言い切れます(音程とか、そういうのはまた別の話です)。