本日、欧州に演奏留学中の方が一時帰国中に弓のトラブルがあって、急遽台風の中、弓の修理にいらっしゃいました。

 ところが、その弓の質の低いこと! さらにケースに入っていた他の2本は、もっと酷かったです。一般的に演奏家のケースに入っている(見た目は高そうな)古い弓ほど質が低いことが多いので、私も一々驚きはしないのですが、勉強中の若い人の弓や楽器の性能があまりににも低いのには残念さ、無念さを覚えます。なぜなら、せっかく必至になって勉強し、練習をしているだろうに、それでは自分の演奏能力の半分以下しか発揮できないからです。

 さらに弓の性能が低いと、演奏自体も(原理的に)間違った方向に進んでしまうのです。正しい演奏技術とは指導力と努力でなり立つと思っている人がほとんどなのですが、「理にかなった道具」を使ってというのが大前提です。このことがなかなか理解してもらえないのです。残念です。

 もちろん、その方がこのブログを読んでいるであろう事は承知で書いています。同じ事は本人に直接に指摘、説明しましたし、また実際に性能の高い弓と楽器を使って演奏したら、どのように音や演奏自体が変化するかも教えましたから、ブログに書かれても問題は無いはずです。

 一生懸命な若い演奏家が、あまりにも理にかなっていない弓や楽器を使って、必至になって努力しているのを見るのは辛いです。プロを目指している若い皆さん(正確には、その親御さん)、もっとちゃんとした物を買いましょう。せっかくの努力と能力が無駄になります。

補足:上で「ちゃんとした物を・・」と書いたのは、何も「高価な楽器」とか、「有名なラベル」とか「鑑定書」とかの話ではありません。「物理的に(構造的に)理にかなった」という意味です。

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