以前に「理の内訳」という記事を書いたことがありますが、私の考え方は大きく分類すると次の3本柱から成り立っています。

  1. 弓の性能の理論
  2. 楽器の構え方の理論
  3. 楽器の音響的な理論(理論と言うよりは、理論に基づいた技術)

 「弓の性能の理論」に関しては、しつこいほど書いていますので、皆さん「またその話か!」と飽き飽きしていることでしょう。

 ところがそれと同じくらいに、「楽器の構え方の理論」も重要なのです。

 私の工房のお客様が楽器を構えるときに、「ああ、そうじゃないです。それは間違った典型の構え方です。性能の低い、弱い弓を使っている人が必然的に辿り着く構え方です」とか言うと、ちょっとムッとする方もいらっしゃいます。

「演奏の素人のお前に、何が判る」とか
「自分の持ちやすい持ち方をして何が悪い」とかなのでしょう。

 おっしゃりたいことは判りますが、私が主張しているのは「効率的な摩擦力を得るために、理にかなっていないですよ」という、たったそれだけです。

 その証拠に、一旦、頭で「理にかなった方法」を理解した途端、あ~ら不思議! それまでの価値観だとか、感覚が嘘のように変わりますから。自分が後生大事に守っていた価値観なんて、そんなものです。実態がないのです。

 本当に上手な演奏者はそれを実行しています。上手な演奏とは、実に合理的な運動なのです。これはスポーツと全く同じ事です。

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