これまで何度か書いていることですが、私の理論の3本柱は、「弓の性能の理論」、「楽器の構え方の理論」、「楽器の音響・技術理論」です。

 正確に言うならば、「楽器の構え方の理論」は、「弓の性能の理論」の下部に属する内容ではありますが、皆さんの感覚的には、上記の3項目を分けた方が、わかりやすいと思います。

 「楽器の構え方の理論」をここで正確に説明することは、時間的に不可能です。それを詳細に書くだけで、ちょっとした本の一冊にはなるからです。

 従って、ごくごく簡単に説明しますと、次の筋道となります。

1. 目標
 性能の良い弓で、理想的な圧力を自然にかけることが出来る、その環境(条件)を作る事。すなわち、弓の圧力を自然にかけやすい、楽器の構え方を目標とする。

2. 理想的な楽器の持ち方とは
 力で持たずに、てこの原理で持つことです。この部分に関しては私のホームページに書いていますので、そちらを参考にしてください。

3. 背骨のコントロール
 2. のてこの原理による楽器の持ち方を実現するためには、背骨をコントロールする必要があるのです。猫背になっていては2.を実現することは不可能です。

4. 下半身の重心
 3.を実現するためには、すなわち、上半身の背骨のコントロールをする上で、一番重要で、しかも効率的なのは、下半身の重心のコントロールなのです。左足に重心を移動させることによって(もちろんそれ以外の幾つかの要素もありますが)、上半身の背筋をコントロールできるようになるのです。

 実際の演奏では、この逆の順番で実行していくのです。

 ここまで文字だけで簡略化して書いてもわからないと思いますが‥。誤解を生んでしまうだけかな? だから本当は文字では書きたくないのです。

 蛇足になりますが、「練習は座って行わないで、立って練習しなさい」と、注意されたことがあると思います。その理論的な根拠も、上記の内容で説明できます。
 すなわち、座って演奏すると、背骨のコントロールが難しいので、ついつい猫背になってしまい、正しい楽器の持ち方がしにくいのです。なにも、「楽して練習しないように」とか「立って練習するのが礼儀」とかいう意味ではないのです。

 逆の事も言えて、構え方の理論を理解していないと、立って練習しても、本来の意味(目的)を実現することは出来ないのです。

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