ブログのお知らせの欄にも掲載しているのですが、現在、工房にカントゥーシャ作のヴァイオリンがあります(もちろん販売商品です)。

 時々、調整にいらっしゃるアマチュアのお客様に、「もし興味がありましたら、弾いてみますか?」みたいな感じで弾いてもらうことは、ありますが、今日はとても上手な演奏者が試奏しました(購入検討のためではありませんが)。

 やはり、上手な人が弾くと、音の出方(深さと音色)が違います。カントゥーシャの楽器って、一見柔らかな音がするのです。だから、カントゥーシャ作の楽器の事を判っていない人だと、よくあるタイプのこもった音の楽器と同等に感じる人が多いのです。

 しかし、カントゥーシャ作の楽器は、性能の良い弓を所有していて(もちろんその演奏者も私の工房にて弓を購入してくださった方です)上手な人が演奏者が弾くと、音が潰れないで、ダイナミクスが大きく、さらに音のつぶが立ってくるのです。

 改めて、この楽器のクオリティーの高さを再確認した次第です。

 「なぜこんな良い楽器を、音大生とか若い演奏者が全く興味を持たないのだろう?」と、いつも不思議なりません。私の工房にてカントゥーシャ作の楽器を購入してくださるのは、皆熱心なアマチュア演奏者ばかりです(もちろん皆熱心でお上手な方なので、それはそれで購入者がアマチュアの方であっても嬉しいことです)。
 たぶん、音大生とか若い演奏者は、教育環境的に、または業界的に、このような楽器に興味をもつような仕組みにはなっていないのでしょうね。先生から紹介された楽器しか選べないとか、イタリア(または古いフランスとか)の楽器しか信用していないとか・・。

 結局のところ、良い楽器が欲しいのではなく、周りが認める安心材料が欲しいだけなのでしょうね。これはいわゆる「大企業指向」と全く同じです。

 まあ、それはそれでいいのですが、そんな楽器を購入後に「どうにか、もっと良い音に・・」と相談されても・・。

 私としては、熱心で真面目で、そして私の事を信頼してくださる(それはすなわち私の師匠のカントゥーシャの事も信頼してくださる)、アマチュア演奏者が購入してくださって、末永く大切に使って欲しいというのが本心です。

関連記事: