久しぶりに調整にいらした方が、「弦の交換は、あまり弾いていないのでしなくてよいです」とおっしゃられることが多いのですが、弦の劣化って、演奏頻度だけで起きるわけでは無いのです。
弦の劣化には基本的に「外部からの損傷」と「張力による劣化」の2つがあります。
外部からの損傷とは、弓毛で擦る部分の摩擦による劣化とか、指で押さえる部分の損傷(金属の平巻線のほつれ)とか、またはサビなどです。汗などが染みこんで起こる劣化もあります。
一方、張力による劣化とは、いわゆる「伸び」です。弦が伸びてしまうと、弦の内部構造(とても複雑な仕組みになっています)が理想的な状態から崩れてしまって、弦の柔軟性が落ちてしまうのです。また、弦が伸びることで、金属の平巻線が反り返ってしまう事もあります。このように弦の構造が理想的な状態から乱れてしまうと、倍音が理想的に出なくなって、音がこもってしまったり、音程が採りにくくなってしまいます。
従って、あまり弾いていなくても、定期的に弦を交換する必要があるのです。弦の劣化のレポートはこちらにも書いていますので、興味のある方は見てください。