私は自分自身の持っている様々な理にかなっている技術や知識を集めて楽器の調整を行います(特に重要なのは弓の性能の理論です)。多くの方は「同じ楽器でもこんなに違うのですね」と喜んでくれます。
しかし、調整で行える事には限界があります。どんなに弦を換えても、魂注を動かしても、ある範囲以上にはなりません。もちろん、例えば違った弦を張れば、最初は物珍しさから良くなったようには感じますが、それは本質的な変化とはかけ離れているのです。
楽器本体において一番重要な事は、いかに構造的に優れた楽器かという事です。「外観が綺麗な楽器」というのとも違うのです。
楽器で重要なのは、「エネルギー変換効率」です。だから良くない楽器は、モコモコしたこもった音で(それを良い音と勘違いしている人がとても多いです)音の抜けが悪く、音が飛ばないのです。さらに、ダイナミックレンジも狭いのです。これは音楽を表現する上で、致命的です。
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